✍温聲筆記✍

温又柔が、こんな本を読んでいる、こんな文章に感銘を受けた、と記すためのブログ

2023-01-01から1年間の記事一覧

繼續讀書,繼續思考!

いまだ読了叶わぬ愛読書が、まだこんなに。新たな必読書かつ愛読書となる予感の本も、続々と。2024年も、文読む月日重ねるよ🐢

百年の「日本語」

メモ。「私が育った戦後日本の社会では、こうした「〈外地〉の日本語文学」とでも呼ぶべき作品群がかつてあったこと自体が、ほとんど忘れ去られていた。戦後早い時期のうちには、故意に忘れようとするところもあったかもしれないが、放置が続けば、社会は本…

「失望」に抗うための、アイデンティティーを。

メモ。「名乗り、名指しをめぐる相互作用を読み解いていく作業は、今日の東アジアを生きる人びとが日本帝国崩壊後の東アジア内の「移民」に対して、無意識のうちに寄せた期待を解きほぐし、「失望」へと至らないためにも必要な作業なのである」(岡野翔太・…

「あるがまま」という領域から始まる思索

メモ。「僕が形作るのは、個々の性格ではなく、それよりも人間間の不思議な力学の場、そして状況、雰囲気によって、その場で何が起こるのかだ」(ヨン・フォッセ) 白水社から刊行されたばかりのヨン・フォッセの戯曲。初の邦訳。普段、戯曲をほとんど読まな…

「敗け」という「始まり」の地点を問い直す

メモ。「日本敗戦の過程を、複数の〈始まり〉の可能性を折り畳んだ時間として読み直すこと。それは(…)帝国日本の敗戦が誰にとっての・いかなる敗北だったのかを再審する作業を通じて、一九四五年八月十五日を起源とする『建国神話』それ自体を脱構築するこ…

練習する権利

メモ。「『帝国のヴェール』という言葉の背後にある一つの重要な認識は、私たちは、いまだに『帝国』と呼ぶほかない国家と資本によるシステム、つまりは、国境を越えた(目には見えにくい)搾取と収奪のシステムのなかにいるのではないかということである。…

ミサイルよりもこわい

メモ。「憎しみに憎しみで対抗することは、自身を変えることであり、憎む者たちがなってほしいと願う人間に近づくことだ。憎しみに立ち向かうただひとつの方法は、憎む者たちに欠けている姿勢をとることだ。つまり、正確に観察すること、差異を明確にし、自…

自分自身を説明すること

メモ①「『私』が自分を説明しようとするとき、自分自身から出発することはできる。しかしその『私』は、自分がすでに、自分自身の語りの能力を超えた社会的時間性に関与していることを見出しもするだろう。実際、『私』が自分に説明を、自分自身の出現の条件…

もう一つの私の言葉で詩を書いてみたくなる/我將來想用我的另一种母语来表达我的日常事件或個人回憶

昔から私は「詩人」を畏怖していて、というのも、散文にまみれながら生きている自分には、「詩」と呼ばれるのに耐え得る確かな強度を備えた文を、おいそれと書けるはずはないと常に恐れているからだ。 ところが、ジュンパ・ラヒリがイタリア語で書いた三冊目…

読書と創作、その無限の楽しみ

メモ。「書くことと読むことは、書き手にとってそこまで別々のものではありません。どちらにおいても、説明のつかない美しさや、作家の想像力にある複雑さや単純な優美さ、そしてその想像力が生み出す世界に敏感で、心の準備ができている必要があります。両…

もっと歴史を勉強したい

メモ。「私たちが参照する歴史とは『探究された歴史(歴史叙述)』なのであって、『実際におこった歴史』そのものではないのです。ここで言う歴史叙述には、歴史に関する著作だけでなく、一次史料とも言うべきその時代の文書、当事者の証言なども含まれます…

”不良”になる

メモ。「何かを拒絶し、拒否し、全部気に入りませんと言って選択しないことより、そうなんだ、何があったの? と言い、そうですか、そうですねと承諾することにした。まるでこれらのすべてを受け入れるみたいに。これから起きるできごとの間をひらひらと踊り…

名づけえぬことほど、語ってみたくなるのは……

メモ。「二人がどの地点にいようと、それまでの関係が何であろうと、そのほうがよかった。泊陽はげんなりしながら思った。なぜ人は真実をもっと、しかも常に知ろうとしたりしないで、名づけられない場所にとどまることができないのか。解釈がなされれば、そ…

私のものだけではない特権

メモ。 「年とった者、障害をもっている者、本物の女/男というステレオタイプに合致しない者には、〈特別の配慮〉が払われる。特別だという意識は、ここでは〈最初の〉女とか〈唯一の〉女と言うときに現れるが、それが差異の意識と混同されるのはよくあるこ…

未来、散歩、練習……そして、歴史の天使🪶

メモ。「過去の人たちが持ってこようとして努力した未来はまだ未来と感じられるし、私が思い描く未来も、未来にはまた、蘇らせたい未来となるのだろう。来てほしい未来を思い描き、手を触れるためには、どんな時間を反復すべきなのか。私はまずそれをどこか…

〈コスモポリタン〉から遠く離れて

メモ。「幾つかの言葉をあいまいに操るひとは自由に多くのひとと交流できているというより、言いたいことの底に手が届かないで孤独を深めていることも多いと思う。とはいえ、これはマルチリンガルなひとだけの孤独ではない。われわれひとりひとり、それに気…

歩くこと、線を問うこと、迷うこと、〈私〉を解き放つこと……

メモ。「記述。それは運動によって創造のための空白を開き、そこに入りこむこと。入りこみ、しかしその空白をただ占拠する/充満させるのではなく、空白にさらに多くの存在たちを招き入れること。自分がそこを開き、そこに率先して入りこむことで、空白はか…

「詩は書かれなくても存在する」

メモ。「詩を書く人、言葉を駆使できる人の責務は、自分の思いは必ずその他大勢の人が思っていることでもあるという自覚を揺るがせにしないこと。つまり自分も大衆のなかの一人なのですから、大勢の人の思いを必然的に併せ持ってもいるのです。よく自分のた…

本を読みたい私たち

メモ。「〈考え抜く〉という教養ならざる教養(非ー教養)をたずさえて私は巡業の旅に出た」(ハンナ・アーレント)。 ケン・クリムスティーンによるハンナ・アーレントの生涯を描いたグラフィックノベル。この帯文だけでも、この胸に刻みつけたい。「考え抜…

私の永遠の必読書

私の永遠の必読書。 日本語の勝利、と、アイデンティティーズ。石の聲、完全版。「国民国家」という単位に縛られながらでは、快く語れずにいた、私のアイデンティティーズを、「国語」の呪縛から解き放たれたニホン語ということばを支えに、堂々と探究する愉…

趙文欣展「Did you see the cat?」について

メモ。「趙文欣さんの作品には共通して、『視点』への強い意識があると思う。現実を静かに観察するための、対象との角度と距離が重要なようだ。本作は、監視カメラから見た映像を模して作られていて、『視点』そのものが作品化しているようでもあった」(服…

ミサイルより、こわい。

Netflixドラマ『ナルコの神』で牧師(と麻薬王)を演じたファン・ジョンミン主演のスパイ映画『工作 黒金星と呼ばれた男』。1990年代にあった実話を基にした映画だという。 映画『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』(監督ユン・ジョン…

わたしたちは対等ではない

メモ。「私は中国を描くためにアメリカに来た画家ではない。私は絵を描き続けるために中国からアメリカに来た画家だ。」(ウェン・イー・ホウ) 私は台湾を書くために日本語の中で育ったのではない。私は日本人の台湾理解を深める目的で小説を書いているのでは…

私たちは、もっと逆らえる

メモ。「僕たちは死者を悼まなければならないけど、死者に人生を乗っ取らせてはいけないんだよ。」(デボラ・レヴィ) 私は母のどんな姿を想像した? この小説は、主人公のソフィアがビーチに建てられたバーのコンクリートの床にノートパソコンを落とした場面…

麻痺したくない #入管法案再提出反対

メモ。 「『入管で働いてる人は、仕事だから。上のほうから、法律で決まってることだから。入管の人間だって、勝手に決めるわけにいかないから。命令だから。自分の仕事だけやってるから。そういうのは私怒ってない』。 日本という異国で、その国で決められ…

「存在を規定する記憶」がなくなれば、私やあなたも…

メモ。「いっそ、何も知らないまま旅を続けた方がいいのかもしれないと私の同行者がだしぬけに言った。記憶が消える前の過去は本当に我々に属していたのだろうか? 我々が知りえないそれ、過去もしくは転倒した未来と呼ばれるそれは、おそらく最初からただの…

私が正しいとは限らない、でも私はいつも間違っているとも言えない

メモ。「ちゃんと意見をもっているからといって、自分が正しいとは限らない」(スーザン・ソンタグ) こころは体につられやすい。体を健やかに保つことでしか、私は私のこころを守れない。私には私のこころを守る義務と権利がある。 今日の源:スーザン・ソンタ…

私にぴったりな挑戦

メモ。「自分だけの歴史にどっぷり浸かると、他者の歴史を見失う場合がある」(ナタリー・スコヴロネク) さあ、新年。勉強しよう。歴史を。家族史を軸とした歴史を素材に、物語を紡ぐための、もっとすばらしい方法を。 私は、「家族のサーガと社会学ドキュメ…