✍温聲筆記✍

温又柔が、こんな本を読んでいる、こんな文章に感銘を受けた、と記すためのブログ

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

映画『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』が、私に思い出させてくれたこと。

〆切が目前に迫るアレやコレがどれもこれもはかどらず、今日はひとまずみんな放り出して、『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』(フィリップ・ファラルド監督、2020)を観に行くことにしたのだった。 とても素敵な映画だった。小説、と称した何かを書くという…

🦋ナビの舞う空を、見あげる

メモ。「自分という存在が一つの名称で括られて行くことに、生理的といってもいい拒否感を覚えたにしても、人間は、集合名詞に括られる宿命から誰一人逃れきった者はいない」(李良枝「石の聲」より) 明日は李良枝が逝ってから30年目の5月22日🦋

ペーパーガイジンの憂鬱

メモ。「おれは兵隊にひっぱられていらい、身分の登録の類いにアレルギーになったのさ。いったい全体、考えてもみろ、紙きれ一枚でひとの身分を拘束できる、などということがあってよいものか。こいつはどう考えてもペテンだ。ところが世の中にはどんなに喚…

絶対の自由に安らってーー創作と批評について

メモ。「作家にとっての作品は十全に準備された放たれた矢である(…)敏感な読者は確実に存在し、しっかり矢を受け止めている。しかし、それだけでは作家は闇夜に小さな的を目がけて矢を放つようなものだ。作家が弓を引き絞るために力を矯めるのを見守り、的…