✍温聲筆記✍

温又柔が、こんな本を読んでいる、こんな文章に感銘を受けた、と記すためのブログ

麻痺したくない #入管法案再提出反対

メモ。

「『入管で働いてる人は、仕事だから。上のほうから、法律で決まってることだから。入管の人間だって、勝手に決めるわけにいかないから。命令だから。自分の仕事だけやってるから。そういうのは私怒ってない』。

 日本という異国で、その国で決められたルールに従おうとするチェリクさんは、ルールに従わせようとして被収容者に非人間的な対応をする入管職員に対しても理解を示そうとするのである」(木村友祐)

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 鈴木江理子・児玉晃一編著『入管問題 終わらない〈密室の人権侵害〉』(明石書店、2022)には、「誰がどのように苦しんでいるのか」という章がある。書いたのは木村友祐さん。木村さんはかつて、私に宛てた書簡でも書いていた。「どれほどもっともらしい理屈で人権の制限を正当化しようとしても、生きることに条件や資格をつけるほうがそもそもおかしくはないでしょうか」。
もちろん、”ルール”は守らなければならない。ただし、それが異なる文化をもつ人間同士が共に在る上で互いに安全でいるために適用されるものである限りの話だ。その構図にあきらかな歪みがある場合、”ルール”は見直されなければならない。ましてや、そのルールのせいで安全どころか、危険きわまりない目に誰かが遭わされているのならば余計に。「入管で働いてる人は、仕事だから。上のほうから、法律で決まってることだから。入管の人間だって、勝手に決めるわけにいかないから。命令だから。自分の仕事だけやってるから」。

migrants.jp

 上の方の人。法律で決まってると言ってのける人。入管の職員に収容者たちをルールに従わせろと命令を下す人。彼らが人間なら、被収容者も人間だ。それなのに何故、人間的な扱いをされない方の側が、自分たちをそのように扱う職員たちに対して、彼らだって仕事だからね、と気を遣わなければならないの? おかしいのは、ルールの方じゃないの? 法律じゃないの? それなのにそれなのに、その法律を「改善」するどころかその逆の、あからさまに入管側にとって都合のいい法案がまたもや提出されようとしているだなんて。どうなってるの?
 そういうのは怒らなきゃ。「中」にいる人たちが生き延びるためにあらゆることに耐えていて怒ることもままならないのであれば
、「外」にいる私たちこそがそのことについて怒らなきゃ。おかしい。こんなの、おかしいと言わなくちゃ思わなくちゃ感じなくちゃ……麻痺させられる前に。

#入管法案再提出反対 #入管法改悪反対  #刑罰ではなく在留資格