✍温聲筆記✍

温又柔が、こんな本を読んでいる、こんな文章に感銘を受けた、と記すためのブログ

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

50年の「異常」と「正常」

メモ。 ◉1895 光緒21年 4月17日、清国の代表李鴻章と日本の代表伊藤博文が春帆楼で下関条約(馬関条約)を調印。清国は朝鮮の独立を承認し、遼東半島、台湾、澎湖諸島を日本に割譲 ◉1945 昭和20年 8月14日、日本政府、米、英などに「ポツ…

「国葬」への疑念、私がそれに反対する理由。

日本国籍は持っていないけれど、私は日本に根を下ろして暮らしている。この国の「住人」であるはずの私は、この国の国民のみが持つ権利を意識するとき、自分はこの国の人ではないと突きつけられるようで、一抹のさみしさを覚える。このさみしさは私がこの国…

「華」の根を辿る旅路は、たった一つきりでは絶対にない

メモ。「私は華僑4世ですが、アイデンティティは日本人です。私の様な日本人は他にも沢山いるんだ、この島国には色んな人が暮らしているんだ。そんな私は今、中華系日本人という名札が一番しっくりきています」(林隆太) 林隆太監督によるドキュメンタリー映…

時間が経てば経つほどに、言葉は言葉のままに……

メモ。「書き留められず、記録し、残すことのできない、無数の瞬間の一つとして、今というこの瞬間も過ぎ去ろうとしている。こうして多くの思念、多くの言葉が消え去って行く。 どこに行き、どう果ててしまうのだろう。 私におけるさっきまでの今も、一体ど…

李良枝と中上健次を読み続けていたら……

メモ。「わたしたちの日常世界は、明示的にルール化された規則だけではなく、空気のように不可視化された規範に拘束され、見えない境界線に分断されてもいる。文学の言葉は、この目に見えにくい規範や境界を可視化し、同時に、それらに転覆や逸脱、攪乱を及…