✍温聲筆記✍

温又柔が、こんな本を読んでいる、こんな文章に感銘を受けた、と記すためのブログ

百年の「日本語」

メモ。「私が育った戦後日本の社会では、こうした「〈外地〉の日本語文学」とでも呼ぶべき作品群がかつてあったこと自体が、ほとんど忘れ去られていた。戦後早い時期のうちには、故意に忘れようとするところもあったかもしれないが、放置が続けば、社会は本当に忘れていく。それにつれ、「〈外地〉の日本語文学」の実作に目を通す手立ても失われる。私は、こうした文学作品が多数存在したことにかろうじて気づき、なんとか自分でそれらを読んでみたくなった」(黒川創

黒川創さんの新刊『「日本語」の文学が生まれた場所 極東20世紀の交差点』(図書出版みぎわ、2023)。「『日本人』であるかどうかは、『日本語』の文学にとっての要件ではない」。約百年前、「近代化」をめざす人びとにとって、東京は「世界」に繋がる都市だった・・・2024年は、この本から始めよう。日本語と東京の、ひとまずこの「百年」を考えよう。