✍温聲筆記✍

温又柔が、こんな本を読んでいる、こんな文章に感銘を受けた、と記すためのブログ

もっと歴史を勉強したい

メモ。「私たちが参照する歴史とは『探究された歴史(歴史叙述)』なのであって、『実際におこった歴史』そのものではないのです。ここで言う歴史叙述には、歴史に関する著作だけでなく、一次史料とも言うべきその時代の文書、当事者の証言なども含まれます。だから高校の授業で『歴史を学ぶ』といういとなみは、叙述された歴史を検討しながら実際におこった歴史に手を伸ばそうとする学びなのであり、焦点化して言えば、『重層的な歴史叙述を検討する学び』なのです。」(小川幸司)

高校生の頃、教科書をめくればぜんぶ書いてあることを定期試験の穴埋め問題に備えてひたすら暗記していると妙にウツウツとした。でもここで点を稼いでおかなければ他の科目ではあまり見込みのない私だし、という実にキマジメな高校生だったのでね。実を言えば当時から私、歴史にはすごく興味があった。歴史のなかにいる(はずの)自分がとても興味深かった。でも、そのことを追求することと、当時の自分が受けていた歴史の授業や大学受験のための試験対策は、なんとなくまったく別のことなのだと薄々わかっていた。まさにその頃の私に小川幸司さんのこの本をプレゼントしたい。いや、この短いエッセイ↓だけでも読ませてあげたい。

今からだって、間に合うよね。今からまた、私は「歴史」を学ぶ。私の場合、小説を書く、という行為が、「歴史」、地域で言えば東アジア、時代で言えば近現代史を学ぶためには最も役立つ。さて私は、小説を書くために日本や台湾の現代史を学ぶのか、アジアの近代史についてもっと学びたくて小説を書いてゆくのか。まったくもう、鶏と卵みたいになってきてるよ。

そう言えば昔、そのことについて書いたっけ。『「国語」から旅立って』より。

今日の源:小川幸司著『世界史とは何かーー「歴史実践」のために シリーズ歴史総合を学ぶ』(岩波書店、2023)