✍温聲筆記✍

温又柔が、こんな本を読んでいる、こんな文章に感銘を受けた、と記すためのブログ

本を読みたい私たち

メモ。「〈考え抜く〉という教養ならざる教養(非ー教養)をたずさえて私は巡業の旅に出た」(ハンナ・アーレント)。

ケン・クリムスティーンによるハンナ・アーレントの生涯を描いたグラフィックノベル。この帯文だけでも、この胸に刻みつけたい。「考え抜く」ことによって、もっと多くの問いを投げかける。私も、私が、これまでに何から「逃亡」してきたのか、再び、考えたい。

それにしても、本を買ってもらう金銭的な余裕がほとんどない、本を読むという精神的な助けを必要とする十代や二十歳前後のひとがいるのであれば、かつてそういう子どもだった私たち大人がどうにかしなければならない。どうしよう。

今日の源:ケン・クリムスティーン著、百木漠訳『ハンナ・アーレント、三つの逃亡』(みすず書房、2023)